思い出のプレゼント THREEのハンドクリーム

退職の日にいただいたハンドクリームの話。憧れだった公共図書館での五年間。50代でいろいろなことを覚えるの本当に大変だったなあ。非正規職員だから、たまにくやしい思いもしたけど、毎日のように本を借りて、この5年間で世の中のありとあらゆる事柄を知れたのは一生の財産になった。

最後の日、全員からの贈り物とは別に、個人的にそっと手渡されたのが、THREEのハンドクリームだった。高価なものだとすぐにわかった。高級な品物には、値段以上の意味が宿ることがある。「あなたを大切に思っています」「あなたはこれに見合う人です」という、言葉にしないメッセージをいただいたように感じて嬉しかった。


香りは甘さや華やかさとは無縁で、むしろ凛とした空気をまとっている。手に塗ると、すぐに肌になじみ、部屋の空気まで変わるような気がした。翌日まで残るほど上質で、余計な飾りのない香り。贈ってくれた女性そのものだった。賢く、静かで、優しい人。彼女が選んだものなら、きっと間違いがないのだろうと思えた。

私はどちらかといえばケチなほうで、日用品にお金をかける習慣があまりなかった。けれど、このハンドクリームは、なくなったら自分で買い続けたいと思った。良い贈り物は、相手に知らない世界や、価値観の変化も贈ることがあることを知った。

私も、人に喜ばれる贈り物ができるようになりたい。自分のケチな性分を少しずつほぐしながら、誰かの一日を静かに支えるようなものを手渡したい。ハンドクリームを使うたびに、その思いがふっとよみがえる。

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