一週間前、80年代洋楽を聴いていたら「Do They Know It’s Christmas?」が流れてきた。
懐かしい。キラ星スターが勢ぞろいだ。よく全員の歌声の真似をしたものだ。
画面の中で歌うジョージ・マイケルを見て、私はつい目で追ってしまった。
特別ファンだったわけでもないのに、彼の少し人見知りのような上目遣い、相手との距離をそっと測るようなまなざし。
そして歌い出した瞬間、誰よりも輝く、あのつややかな声。こんなに魅力的な男性だったのかジョージ。
ジョージは今どうしているんだと検索して、私は初めて知った。
ジョージ・マイケルは、10年前のクリスマスに亡くなっていた。53歳で。ひとりで。
胸の奥がひやっとした。
思い返せば、田舎の中学生だった私にとって、
「Club Tropicana」や「Wham Rap!」はとにかく新鮮で、カッコよかった。
高校生になってもWHAM!は売れに売れて、どこに行っても彼らの曲がかかっていた。
でも私はまだ子どもで、ジョージの歌がうますぎることも、
鋭さと哀しみが揺れ動くようなまなざしも、処理しきれなかった。
だから“推し”にはならなかった。
大学生になり、念願の横浜で暮らし始めたころ、
ジョージはソロになって、ひげをはやし、サングラスにレザーとジーンズで歌っていた。
あの頃の私は、その姿に刺さらなかった。
中学生のときに見た哀しみのまなざしのジョージと、
ソロ期の強く見せようとするジョージが、どうしてもつながらなかったから。
そして40年たった今、私は彼が53歳で亡くなっていたことを知った。
後追いで、あのあと彼の身に降りかかったことをだいたい知った。
50代の写真も見た。
ソロになってからの曲も、MVで姿を追いながら一週間ずっと聴いた。
youtubeのおかげで、どの時代のジョージもみることができた。
不思議だったのは――
田舎の中学生だった私の前で、ジョージは天下取りを狙うキラキラしたポップスターだったのに、
今、彼はもういないということ。
そして私は、彼の年齢を超えて、ささやかだけれど幸せな毎日を送れているということ。
でも、その一週間を終えた今はっきりと言える。
人はいつか死ぬ。
だから私は、私のよい人生を送る。
シリアスになり過ぎず、ダンスするように今日を機嫌よく過ごす。
ジョージの声は、これから私の中で生き続ける。

